介護保険サービスの種類

介護保険法に定められているサービスは様々あります。大きく分けると、入所系と在宅系に区分されます。

《在宅系サービス》在宅で過ごしながら受けるサービス(デイサービスなど)

《入所系サービス》入所施設に入ることで提供されるサービス(特別養護老人ホームなど)

今回は、「在宅系サービス」と「入所系サービス」についてそれぞれ説明します。

在宅系サービス

在宅で過ごされる方々に提供されるサービスで、「居宅サービス」と呼ばれています。「在宅で過ごしている人」を対象にしており、“家の中で受ける”訪問型のサービス、デイサービスに“通って”受けるサービス、また、短期間の“お泊り”をするショートステイといった、幅広いサービスがあります。

ここからは、「①訪問サービス」「②通所サービス」「③泊りサービス」それぞれついて、説明していきます。

  1. 訪問サービス

訪問事業所の介護職や看護職などが自宅を訪問して提供するサービス。身体介助や家事援助だけでなく、健康サポートやリハビリなど、さまざまなサービスが受けられる。

・訪問介護(ヘルパー)

  ヘルパーが自宅に赴き、入浴・排せつ・食事等の介護や、掃除・洗濯・調理等の生活援助、通院時の外出移動のサポート等の日常生活上のお世話を行うサービスです。

Point

・滞在時間によって料金が変わってきます

・利用可能時間帯は、概ね8時~18時です(事業所によって異なります)

・夜間帯は「夜間対応型訪問介護」などの別サービスがあります

・訪問看護

主治医の指示書に基づいて、看護師や理学療法士等が家庭を訪問して病状の確認や点滴、医療機器の管理などの専門的なケアを提供するサービスです。

Point

・滞在時間によって料金が変わります

・事業所によっては緊急時に夜間対応が可能です

・末期がん等の場合は医療保険の利用もできます

その他、主治医と連携した理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職が自宅でリハビリを行う「訪問リハビリテーション」や、数人のスタッフが自宅に簡易浴槽を持ち込んで、入浴が困難な方を入浴させてくれる「訪問入浴介護サービス」があります。

在宅系サービスの最大の特徴は、自宅で受けるといった、実生活に直結したサービス

であるということです。家庭の雰囲気の中でサービスを受け、自宅の空間での動作の確認や訓練ができるといったことがメリットとなります。

  1. 通所サービス

利用者が施設に出向く日帰りサービス。日常生活のサポートだけでなく、リハビリやレクリエーションも受けられます。

・通所介護(デイサービス)

食事や入浴、排せつといった生活機能の維持または向上を目指して、必要な日常生活上の世話および機能訓練を行う。

Point

・利用時間が1時間区切りで設定されており、希望の時間で利用が可能です

「3時間以上4時間未満」「4時間以上5時間未満」

「5時間以上6時間未満」「6時間以上7時間未満」

「7時間以上8時間未満」「8時間以上9時間未満」

 ※事業所によっては利用時間帯に制限があります

  ・利用定員もさまざまで、こじんまりとした小集団のデイサービスもあります

  ・集団だけでなく、個別に行うリハビリテーションのプログラムも用意されています

 ・通所リハビリテーション(デイケア)

  医師の指示のもと、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリの専門職が、筋力や体力など身体機能を維持・向上・回復させることを目的としたサービスを提供します。

  Point

  ・パワーリハビリの機器などの設備が充実しています

  ・ご自宅までの送迎も行われています

  ・食事や入浴などのサービスも受けることができます

 ・認知症対応型通所介護

  認知症の方のみを対象としたデイサービスであり、認知症の人を介護するにあたっての知識や技術を有したスタッフにより専門的なサービスを受けられます。

  Point

   ・定員は12名以下であり、少人数できめ細かなサービスを受けられます

  ・民家などを利用したタイプなど、味わいのある雰囲気をもった施設もあります

  ・原則、同一住所地の事業所のみが利用可能です

  

 その他、「療養通所介護」と呼ばれる、難病や末期がんなど医療的なケアを必要とする利用者に対応しているデイサービスです。看護師などが常駐しており、医師と連携しながら、一人ひとりの状態に合わせたケアを受けることができます。

  1. 泊りサービス

施設に短期間宿泊し、ケアを受ける短期入所系サービス。日頃の介護疲れを癒すために欠かすことのできないサービスです。

・短期入所生活介護(ショートステイ)

1泊2日から1週間等の期間で、施設に泊まり、日常生活のサポートや機能訓練、レクリエーション、健康観察などのサービスを受けられます。

Point

・多くの事業所は予約制ですので、早めの予約がオススメです

・連続30日を超えると、介護保険が適用されない自費が発生するために注意が必要です(その際は、事前にケアマネジャーと相談してみてください)

・ショートステイには介護保険上の利用限度日数があり、要介護認定期間の半数となっています。ただし、条件によっては延長も可能なので、ケアマネジャーと相談の上、ご利用ください。

 ・短期入所療養介護(療養ショートステイ)

 主に老人保健施設や介護医療院に併設された事業所で、看護などの医学的管理の下で、介護及び機能訓練その他、必要な医療ならびに日常生活をサポーします。

 Point

 ・利用方法については短期入所(ショートステイ)と同様です

 ・日常生活のお世話とリハビリや、医療・看護ケアを受けられます

 ・医療処置やリハビリを重視したい方にオススメです

ショートステイの利用は住み慣れた自宅から離れることで、大きなストレスがかかります。本人が安心して利用できるためにも、あらかじめ施設の下見をしておくことや、なぜショートステイに行くのかをしっかり説明しておくことも大切です。

 

入所系サービス

入所系サービスとは、介護保険の対象となる施設(介護保険施設)に入所された方々に提供されるサービスです。利用者の生活そのものも含め、身体介助や生活援助などの介護サービスを受けられます。

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

 原則、要介護3以上と認定を受けられた方が対象であり、日常の入浴・排せつ・食事などのお世話やレクリエーション、機能訓練を行います。

  Point

 ・要介護1および2の方でも認知症の強い症状をお持ち等、条件次第で入所が可能です

 ・入所者や家族の要望によっては、最期まで施設で過ごすこともできます

 ・入所待機者が多いことも特徴のひとつですが、要介護度や緊急性によっては、入所順番が繰り上がることもあります。施設に問い合わせをしてみてください。

・介護老人保健施設

  要介護1以上の方に、概ね3ヶ月を目途として、看護や医学的な管理下で必要な医療や日常生活上のお世話をします。1日でも早く家庭での生活に戻ることができるように支援することを目的としています。

 Point

  ・在宅復帰を目指したリハビリ重視のサービスです

 ・3ヶ月を超えても必要性に応じて期間の延長も可能です

 ・病院への入院加療が必要な場合は、退所扱いとなります

・介護医療院

  「介護療養型医療施設」からの転換が進んでおり、療養が必要な方が介護保険でも医学的な管理下で、長期の入院生活が出来る施設です。

 Point

 ・経管栄養や痰の吸引など医療処置の多い方に適しています

 ・入所期間の定めはありません

 ・介護療養型医療施設よりも、日常生活上のお世話を重視したサービスになっています

入所系サービスといっても、期間を定めての入所となる施設や、人生の最期を過ごす施設があり、目的や性質が異なります。入所を検討するにあたっては、どういったサービスを望むのかを考えた上で、担当ケアマネジャーや施設の相談員等に相談してみてください。

おわりに

介護保険サービスは、本人の要介護状態によって、さらには、在宅生活を継続したいのか、入所を含めて検討したいのかによって、サービスを検討する必要があります。聞きたいことが見つかったら、自治体の地域包括支援センターや、担当ケアマネージャーに相談してみましょう。また、厚生労働省の「介護情報公表システム」では、お住まいの地域の事業所や施設が一覧で確認でき便利なので、オススメです。

介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (mhlw.go.jp)

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