介護保険サービス利用はどうしたらいい?

要介護認定には、手間と時間が掛かるので、「めんどくさいな」と億劫になってしまうこともありますが、在宅生活を楽に過ごすためには、上手なサービス利用は欠かせません。そのために、まず必要なのは、「要介護認定」となります。今回は、介護サービス利用の流れを説明していきます。

要介護認定を受けるには?

1.申請をしましょう

介護保険サービスを利用したいと思ったら、まずは「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定の申請は、市町村の窓口や地域包括支援センターなどで受け付けていたり、町の居宅介護支援事業所等に代行してもらうこともできます。

【必要な書類等】

 要介護・要支援認定申請書(市町村の窓口から取り寄せることができます。インターネットからダウンロードも可能です。)

 介護保険被保険者証

 マイナンバーが確認できるもの

 かかりつけ医療機関、医師名などがわかるもの

 (第2号被保険者の方は)加入している医療保険の保険証

本人以外が申請する場合は、さらに以下のものが必要となります

・委任状

・印鑑

・代理人の身元が分かるもの

2.調査を受けます

認定調査

要介護認定の申請を済ませると、10日~1ヶ月程度で訪問調査員と呼ばれる係員が自宅に訪問して、心身の状態を調査します。訪問調査は以下の3つの項目について実施されます。

・概況調査:本人の置かれている環境、家族の状況、現在利用しているサービなど

・基本調査:全74項目にわたる、身体や生活機能について

・特記事項:生活全般に係る特に配慮を要すること

特記事項についての調査は、調査を受ける本人に代わって、家族等が説明することもあります。日頃からの様子を観察し、メモしておくことをオススメします。

メモに書いておくといいこと

・治療中の病気、既往歴

・介護が必要となった状況

・本人ができること

・家族等が介助していること

・日常生活の中での困った行動や心配な点

主治医意見書

申請書に指定した主治医に、自治体が意見書の作成を依頼します。主治医は医学的観点から、介護の必要性について記載します。主治医がいない人は自治体から医師の紹介を受けて、診断を受けることができます。※申請者の意見書作成料の自己負担はありません。

要介護認定の審査・判定

訪問調査員により実施された認定調査結果、主治医の意見書を基に、審査・判定が行われます。

一次判定

認知調査結果、主治医の意見書をコンピューターで分析し、要介護度を判定します。ここでの判断は、あくまで「一次判定」であり、実際の要介護度は、二次判定を通して認定されます。

二次判定

一次判定の結果を受けて、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が最終的な介護認定を決定するのが二次判定です。訪問調査での調査票の特記事項と、主治医の意見書を基に、要介護区分を判定します。

要介護度の認定

認定が決定したら、認定結果通知と認定結果が記載された被保険者証が届きます。被保険者証には要介護状態区分や認定の有効期間などが記載されています。要介護認定は原則として申請から30日以内に結果が本人に通知されますが、何らかの事情により認定が遅れる場合は、連絡が入ります。

被保険者証が届いたら確認すること

要介護状態区分:要支援1~2、要介護1~5、非該当

認定有効期間  :新規、変更申請:原則6ヶ月(状態に応じ3~12ヶ月まで設定)

更新申請:原則12ヶ月(状態に応じ3~48ヶ月まで設定)

要介護認定を受けたあとは?

要介護1~5の認定を受けた方

介護支援専門員の選定

介護保険サービスを利用する場合は、「介護サービス計画書(以下、ケアプラン)」の作成が必要となります。ケアプランの作成は、介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)のいる居宅介護支援事業所へ契約・依頼をして行います。また、(看後)小規模多機能型居宅介護事業所を利用する場合は、当該事業所に所属するケアマネジャーがケアプランを作成します。

ケアマネジャーの選定に迷ったら、市役所等の窓口や地域包括支援センターでも相談できます。

ケアマネジャーを選ぶときのポイント

・本人や家族の立場に立って考えてくれる

・しっかりとした知識と経験をもっている

・さまざまなサービス事業者についての情報をもっている

ケアプランの作成依頼

本人や家族は、どんな生活をしたいか、どんなことに困っているかなどをケアマネジャーに伝えて、使いたいサービスや、サービス事業者を相談します。相談した結果を基に、ケアマネジャーがケアプランを作成します。※ケアプラン作成に利用者の自己負担はありません。

サービス事業者と契約・利用

ケアプランを基に、ケアマネジャーが開催する「サービス担当者会議」で話し合った、本人や家族、サービス事業者の意見を踏まえて、ケアプランが完成します。各種サービス事業者と個別に契約し、サービス利用日を調整して、利用開始となります。

介護認定を受けた後すぐ、施設入所を希望する場合があるかと思います。その際には直接、希望する施設から、入所に関して説明を受けて、契約を結びます。希望する時期の入所が難しければ、一旦、居宅介護支援事業所のケアマネジャー等と相談してください。ショートステイを含めた在宅生活を過ごしながら、入所の順番を待つことになります。

要支援1~2を受けた方

「要支援」認定の方は、ご自身の住み慣れた地域にある、地域包括支援センターが相談窓口となります。さらに、担当ケアマネジャーも多くの場合は、地域包括支援センターに所属するケアマネジャーの中から選定します。一部、居宅介護支援事業所が委託され、担当を受け持つこともあります。

ケアマネジャーの選定以降のサービス利用までは、「要介護」認定の方と同様の流れとなります。ただし、利用できるサービスに限りが設けられているため、ケアマネジャーと相談して、サービスを選んでください。

事業者と契約する際のポイント

介護保険サービスを利用する際は、さまざまな事業者と契約を結ぶことになります。思わぬトラブルに合わないように、契約書や重要事項説明書は、不合理な名目や費用がないかをしっかり確認して、納得の上で、サインしましょう。

Point

サービス内容

サービスの種類や内容がきちんと記載されているか。

⇒契約書、重要事項説明書などを書面で受け取り、記載されているか確認しましょう

契約期間

契約期間は定められているか。

⇒契約期間が満了した後の契約更新についても記載されているか

利用者負担金

利用料等の利用者負担金が記載されているか。

⇒法令で定められている負担金以外の記載があるか、事業者の都合で変更できるような書き方はされていないかを確認しましょう

利用者負担金の滞納

利用料等の利用者負担金を滞納した場合でも、一定の猶予期間を設けるなど記載はあるか。

⇒直ちにサービスを停止したり、違約金の支払い等が定められていないか

利用者の契約解除

利用者側からの契約解除ができることが記載されているか

⇒違約金等の定めはないか

サービス利用のキャンセル

予定されているサービス利用のキャンセルができるか。

⇒キャンセル料の支払いを定めがある場合でも、その金額に納得できるか

その他、損害賠償、秘密保持、苦情対応等についての記載も確認してみましょう。

地域包括支援センターについて

地域包括支援センターは自治体やその委託事業者によって設置されています。住み慣れた地域で生活を続けることができるように役割を担っています。

地域包括支援センターの役割

介護予防サービスのケアプラン作成

生活機能の維持・向上が必要な要支援1、2の設定を受けた方のケアプランを作成します。

相談窓口

日常生活や地域での生活全般にわたっての様々な問題についての相談を受け付けます。

高齢者の権利予防

成年後見制度の利用支援や高齢者虐待の防止などへの取り組みを行います。

地域のつながり強化

ボランティア活動の支援や、ケアマネジャーなどのサービス事業者、医療機関との連携・つながりを強めます

おわりに

介護保険サービスの利用を考えたとき、多くの手続きや段取り、実行が必要となります。その全てをひとりで行おうとすると大きな負担がかかります。その手助けとなるのが、市役所や地域包括支援センター、そして町のケアマネジャーです。住み慣れた地域での暮らしを長く続けていくためには、上手に周りを頼って、上手くサービスを活用していきましょう。

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