認知症vol.2
冷蔵庫にあるのに、また同じものを買ってきてしまう
短期記憶が低下する。
新しく触れたものや、ついさっきの出来事も忘れてしまいます。昨日、買ってきたばかりのものを、今日も買ってきてしまうのも日常茶飯事です。家を出る前には、必要なものを確認したはずなのに、お店につくころには、すっかり忘れて、思いつくままに買い物をして帰ってきます。これは、短期記憶の低下で起こる症状です。覚えたはずの事も、時間の経過とともに、忘れてしまうのは、認知症の初期によく見られる症状です。
判断力が低下する。
「美味しいよ!」「特売品です!」などの売り口上を聞くと、話しかけられた嬉しさや、“お得感”への興味から、不必要なものまで買ってしまうことがあります。また、訪問販売やTVショッピングも同様で、今の家庭に要る要らないというよりも、今の自分の気持ちで判断してしまい、気づいたら注文・購入してることがあります。
こんなときに気をつけたいこと
何度も同じものを買ってきてしまい、冷蔵庫の中がパンパンになるのは困ってしまいます。でも、ここで「買い物に行ってもらわない」っていう選択肢を選ぶのは少し早いかもしれません。行動を止めたり、役割を奪ってしまうと、気持ちのやり場に困り、無理矢理にでも行動に移してしまうことも考えられます。上手に買い物ができる方法を見つけていくことが大切です。
上手に買い物をしてもらう方法
同じものを買ってきてしまわないようにする方法を紹介します。
1.短期記憶の低下への対処
時間が経過すると忘れてしまうのが、短期記憶の低下です。忘れてしまわないためには、メモを活用すると良いでしょう。「買ってきてほしいものをメモしておいたから、お願いね」とメモを手渡してみてください。このとき、メモをどこへしまったか分からなくなることを防ぐために、カバンのポケットなど、入れ場所を決めておくと、メモを無くしたり探さなくて済みます。
2.判断力の低下への対処
他人から親しく話しかけられると嬉しくなるもので、ついつい購買意欲を掻き立てられてしまいます。こんなときは、事前にお店側に協力してもらうことが大切です。家族が認知症であることを伝えて、親しく話かけることは残してもらいつつ、商品のオススメを控えてもらいましょう。また、自宅には「セールスお断り」の札を貼ったり、ダイレクトメールは、すぐに目に触れないところに片づける工夫もしてみてください。
それでも購入してしまったら・・・
購入した商品を返品したいときは、「クーリングオフ制度」の活用をオススメします。ただし、購入してから一定期間内に書面での申し出などの条件がありますので、制度についての確認が必要となります。また、クーリングオフ対象外の商品もありますので、返品可能かどうかを購入先への問合せが必要です。
何度も同じものを買ってこられると、保管場所に困り、物によっては腐らせてしまうこともあって、生活への支障が出てきます。ただ、だからといって”買い物係“という役割を無くしてしまうと、喪失感から、認知症の進行にも繋がることも考えられます。できるだけ、本人ができることはやってもらうと、暮らしの中に、喜びを感じ続けられると思います。