認知症介護vol.1
認知症 もの忘れについて
記憶が低下すると、もの忘れが出てきます。ただ、廊下によるものか認知症によるものかは、その症状によって分かれてきます。よく聞かれるのが、『もの忘れ』と『認知症』の違いについてです。ある体験したことの中で、一部を忘れるのが「もの忘れ」で、体験したことの全部を忘れるのが「認知症」です。昨日の晩ごはんはなんだったっけ?と思い出せないのは、あまり心配することはありません。晩ごはんを食べたことを覚えていれば大丈夫んです。反対に、ごはんを食べたという”体験”を忘れてしまうと生活に支障が出てきますので、注意が必要となります。
認知症の人のご家族の中には、晩ごはんが終わり、片づけがやっと済んだと思ったら、「まだ食べてないんだけど、晩ごはんまだ?」と言われる人もいらっしゃるかと思います。しっかり食べてたはずなのに、食べ終わったと思ったら、すぐにお腹が減る現象が起きるのが認知症です。「さっき食べたでしょ」と否定すると、感情が高ぶり抑えが効かなくなったり、気持ちを落ち着かせようとして、もう1回ご飯を食べるのも、糖尿病などの病気が気になってきます。本当にお腹が減ったのか、口が寂しいだけなのか、あるいは、話し相手が欲しいのか、いろんな理由で、「まだ食べてない」という言葉がでてきます。
認知症の症状を抑えるには、ちょっとしたコツがあります。「まだ食べてない」と言われても、その言葉に真正面から向き合わず、話を逸らすことが大切な手段です。「これから支度するね」とか、「お茶でも飲みながら待っててね」と伝えて時間を置いたり、ちょっとしたお菓子で口の寂しさを紛らわせたりすることも効果的で、嘘も方便といった対応が感情の高ぶりを押さえてくれます。
認知症の人の対応は、大変な思いをされることが多いと思います。何度も同じことを言われて、思い通りに行かない焦る気持ちを落ち着かせつつ、相手の心に向き合ってみると解決のヒントが見えてきます。時間にも心にも余裕が手に入いると、自然と優しい言葉づかいができてきて、穏やかな生活を送ることができるようになります。認知症の人の対応は、いかに余裕を手に入れるかがポイントです。『物忘れ』の間は、そこまで気にする必要はなく、『認知症』が発症し、生活に支障が出てくるようになると対応も難しくなってきます。認知症の対応にコツを入れて、生活に安定をもたらし、心の余裕を手に入れて、笑顔の毎日を過ごしてください。